暴力団員の振りをして女性を脅し、むりやり性的関係を持ったうえ、現金を奪ったとして、大阪府警曽根崎署は2014年3月3日、強盗強姦などで住所不定、無職の男(49)を逮捕したと発表した。
被害女性は27人に及び、そのうち告訴を受けた20人に対する146回の強盗強姦や強姦罪(現金被害は約160万円)を裏付けた。
男は店舗などで女性を物色し「暴力団で仕事をしている。復讐を頼んできた人がいるが、止めてほしければ金を払え」「犯罪組織から守る」などと脅迫。
ホテルに何度も呼び出して強姦を繰り返し、その都度金を払わせていた。被害女性の中には10~20代で女子中学生もいた。
同署や起訴状によると、被告は18年4月ごろから、大阪府内を中心に洋服店や宝飾店、洋菓子店を訪れて女性店員らを物色。名札を見て名前を確認し、その後、暴力団員を装って店に電話をかけた。
「組の中で依頼を受けて仕返しをする組織にいる。おたくに復讐してほしいと頼んでいる人がいるが、助けてほしければ2千万円払え。それが無理なら俺と寝れるか」
「警察に言ったら、警察と組織がつながっているから分かるし、言った時点でおたくの家族とかも全部殺しに行くから」
「今すぐに拉致して海外に売り飛ばすこともできる。いつでもさらえる」
1人の女性への脅迫電話は700~800回に及ぶこともあった。
被害者らは恐怖に怯え、誰にも相談できないままホテルや被告の自宅に呼び出され、暴行された。
さらに「組織にお金を払わなければならない。期間は2年間。払えないなら千円でも2千円でもいいけど、ゼロというのは許されない」
などと追い打ちをかけ、金も奪った。
暴力団員をかたって6年半にわたり、中学生を含む10~20代の女性20人に計約140回の性的暴行やわいせつ行為を繰り返したとして、強盗強姦などの罪に問われた無職の男(50)の裁判員裁判の判決公判が27日、大阪地裁で開かれた。登石郁朗裁判長は「被害者が極めて多人数で年少者も対象にしており、悪質性が際立った犯行」として求刑通り無期懲役を言い渡した。
登石裁判長は判決理由で「被害者に暴力団組織から狙われていると信じ込ませ、口外すれば家族や友人が殺されるなどと脅し、指示に従わざるを得ない状況に追い込んだ」と指摘した。
被告は同種の前科で約6年半服役。仮釈放から22日後、保護観察中で再犯防止プログラムを受けているにもかかわらず、最初の犯行に及んだという。
判決後に会見した裁判員の40代女性は、再犯防止プログラムについて「まったく効果がなかったのではないか」と批判した。