広島市で塾帰りの小学6年の女児(12)をかばんに押し込み連れ去ったとして、監禁容疑などで現行犯逮捕された成城大学2年の男(20)=東京都世田谷区=について、広島地裁は21日、刑事責任能力の有無などを調べるために広島地検が請求していた鑑定留置を認める決定をした。期間は12月17日まで。
広島県警の調べに対し、容疑者は「乱暴しようとタクシー車内で思った」と供述する一方で、「大学生活がうまくいかず嫌気がさしていた」「逮捕されたかった」などと動機を話しているという。地検は、容疑者の供述に一貫性がないことなどから、刑事責任を問うにあたって精神鑑定が必要と判断した。
県警によると、容疑者は4日午後8時40分ごろ、広島市西区で、女児にナイフを突きつけて脅すなどし、旅行かばんに押し込み連れ去った疑いが持たれている。
広島市西区の小学6年女児(12)が旅行かばんに押し込まれ連れ去られた事件で、監禁容疑で逮捕された東京都世田谷区祖師谷、大学生の男(20)が、果物ナイフを示して女児を脅し、無理やり旅行かばんに入らせた疑いがあることが5日、広島中央署への取材で分かった。同署は未成年者略取や銃刀法違反の容疑でも捜査している。
広島中央署は、容疑者が4日夜、西区己斐本町1丁目のJR西広島駅近くの路上で、塾から帰宅中に1人で母親の迎えを待っていた女児にナイフを示し「静かにしろ。正座して入れ」などと脅迫。人けのない近くの場所に女児と移動し、所持していたかばんの中に入らせたとみている。
かばんはナイロン製で長さ約70センチ、幅約30センチ、高さ約30センチ。女児は身長約150センチで、手足を縮めた状態で数十分間にわたり監禁されていたという。容疑者は女児をかばんに押し込んだ後、約100メートル離れた場所でタクシーに乗車。かばんはトランクに積み、女児を連れ去ったとみられている。
同日午後9時ごろ、連れ去った現場から東約3キロの中区三川町の路上で、トランク内の異変に気付いたタクシー運転手男性(63)が、通行人の男性に通報を依頼。通行人が110番し、発覚した。
運転手男性は「トランクから『出して、出して』と声が聞こえた。(かばんから出た)女の子はショックを受けていたが、男はずっと無言だった」と話していた。
広島市内で2012年9月、小学6年の女児を旅行かばんに閉じこめ、タクシーのトランクに監禁したとして、わいせつ目的略取と監禁の両罪などに問われた住所不定、元大学生の男(22)の控訴審判決で、広島高裁は2日、懲役4年(求刑・懲役5年)とした1審・広島地裁判決を破棄し、懲役3年を言い渡した。