2004年7月20日
性犯罪で服役、出所した一週間後の昨年7月、愛媛県松野町で当時19歳の女性を拉致し殺害したとして、殺人やわいせつ目的略取などの罪に問われた無職の男(40)に対し、松山地裁は14日、求刑通り無期懲役を言い渡した。
判決理由で前田昌宏裁判長は「冷酷かつ残忍な犯行で、長期間服役した反省は全く生かされていない。
被害者の受けた絶望や屈辱は筆舌に尽くし難い」と述べた。
被告は強姦(ごうかん)致傷罪など性犯罪で過去3度服役。
今回も出所直後に犯行を起こしており、判決は「過去の事件の手口などを複合させ深めており、同種事犯の常習性は極めて顕著」と批判した。
公判で被告は事実関係を認め「反省している」と述べたが、明確な殺意は否認した。
被告が接見した弁護士に「所持金がなくなって風俗店に行けず、今回の犯行を思い付いた」と動機を話したことが30日、分かっている。
容疑者は12日、強姦(ごうかん)致傷罪などで服役していた刑務所を出所。
19日夕、所持金が約1万円になり、高知市からレンタカーで帰宅途中の高知県西土佐村で、
若い女性を襲うことを思い付いた。
発覚して刑務所に戻ることは考えなかった。
20日午前10時20分ごろ、幡多郡大正町の林道に止まっていたレンタカーの中で、愛媛県松野町吉野、無職、加形(かがた)有賀里さん(19)の遺体が見つかった。現場や遺体の状況などから、愛媛県警は殺人と略取容疑で大正町芳川、無職の男(39)を逮捕した。
調べでは、容疑者は19日午後11時すぎ、松野町吉野の路上で、自転車を押して通行中の加形さんにレンタカーをぶつけ、転倒した加形さんを連れ去った上、大正町下藤蔵(げとうぞう)の山中に止めたレンタカー内で、首をロープのようなもので絞めて殺害した疑い。
宮地容疑者は20日午前10時10分ごろ、窪川署に自分の所在を電話で伝えたという。
同容疑者は9年4月、愛媛県日吉村で同様にレンタカーで女子高校生をはね、約8時間にわたって車中に監禁。逮捕され、実刑判決を受けている。
19日深夜、愛媛県西予市の男性が「加形さんと携帯電話で通話中、急に電話が切れ、連絡がつかなくなった」と鬼北署に届けた。自宅近くに加形さんの自転車や片方のサンダルが残され、血痕もあったことから、県警が行方を捜していた。
近所の人によると、加形さんは19日夜、本人らの就職祝いの集まりで愛媛県宇和島市に出掛けたが、深夜になっても帰宅しないため、加形さんの母は「友人に泊めてもらったのだろうか」と一睡もせずに心配していたという。
遺体発見現場は大正町役場から北へ二十数キロで、梼原町に通じる国道439号から脇に入った林道。松野町からは直線距離で北東に約19キロ。